自慢の逸品 2
深夜、人が寝静まった中で万年筆で文を書くと、ペン先が紙面を打つ音が聞こえます。
小さなかすれ音とトントンという音が心地良いリズムになって響きます。
明かりをほのかに反射するペン先とペン軸、さらに指先に伝わってくる感触、こういう微妙な感覚は、疲れを忘れさせるほど素晴しいものです。
しかも、万年筆はそれぞれ違った味を持っています。
同じメーカーのものでも、人間の顔のように少しずつ違っています。
モンブラン、ウォーターマン、ペリカン、パーカー、パイロット等々、一本一本がそれぞれの持ち味を持っています。
その違いを指先で楽しみながら筆を進めます。
それはボールペンでは味わうことができません。
もちろんワードプロセッサーの機械音などとは別世界のもの。
とにかく、万年筆にはそういった肉感があるのです。
それだけに、日中オフィスで人と対しているとき、相手が取り出した筆記具が、文房具店に束になって売られているボールペンだったりしたら、軽い失望を覚えますね。
いくら時計がハミルトン カーキでも、100円ボールペンを使っているような男性はダメです。